甲斐優斗選手初めてのフランスリーグ参戦「フランス行きまでのことを初めて話します!!」

2024.04.15

今年１月、甲斐選手のフランスリーグへの参戦というセンセーショナルな発表は、関係者のみならず多くのファンを驚かせた。
昨年の全日本インカレ大会中何度か甲斐選手を見かけたが、その時点では海外へ行くような素振りもなく、噂を耳にすることもなかったのだが……。
なぜフランスだったのか？
帰国直後の甲斐選手にフランス行きまでの経緯と、フランスでの出来事を伺った。

――パリ行きを決めたのはいつごろだったのですか？
　昨年の全カレが終わった後、少し経ってからですね。冬の時期をどう過ごすのがベストかということをたくさんの方々が考えてくださった結果、最終的にパリへ行きが決まったんです。
　本当に急なことで、当初お話をいただいた際は不安しかありませんでした。それまで海外でプレーしたいという気持ちも全くなかったので……。本当に急転直下の展開で、不安な気持ちを抱えたままパリへ向かったというのが現実でした。
　僕の中でパリ行きを決めた最大の理由は、受け入れてくださるチームに宮浦選手がいらしたこと。これは本心なんですよ（笑）。言葉や食事など、海外での生活について何もわかりませんでしたし、心の準備もできていませんでしたから宮浦さんの存在は大きかったんですよね（笑）。

――パリでの生活はどうでしたか？
　パリへ到着し、チームに合流してみると宮浦選手だけでなく、チームメイトがとてもフレンドリーに僕を受け入れてくれたのでホッとしました。このとき初めて「何とかなるかも」と思いましたね（笑）。試合日程やトレーニング法、海外選手のアグレッシブな考え方など、日本とは違った現状を目の当たりにして、本当に刺激を受けました。
　生活面では想像どおり宮浦選手に大変お世話になりました。あらゆることをレクチャーしていただき、行きつけのお店にもあちこち連れて行っていただきました。フランスで食べたものの中で、いちばん美味しかったと記憶に残っているのは鴨肉です。そのお店も宮浦選手が連れて行ってくれたお店です!
　休日にはサッカー観戦にサンジェルマンへもご一緒もしました。特別サッカー好きというわけではなかったのですが、海外という解放感があったからか、すごくワクワクしながら観戦しました。間近で見ていて宮浦選手はオンとオフの切り替えがとても上手だったように思います。今後はその点も見習っていきたいと思っています。
　まだ、帰国したばかりですが、フランスでの体験を今後のバレー人生に生かしていきたいと思っています。みなさんに１日でも早くフランスでの成果をお見せする機会がもてれば嬉しいですね。

HEROES EYE
　フランス人のフィリップ・ブラン氏が日本代表チームのコーチ、監督に就任して8年目のシーズンを迎える。奇しくも今年はブラン監督の故郷フランス・パリで五輪が開催される。すでにパリ五輪への切符は入手している日本代表男子チーム。五輪本番でメダルを狙うためには「秘密兵器」の育成が不可欠なように思う。ブラン監督はその要員として、甲斐選手に白羽の矢を立てているのではなかろうか。
　今年、甲斐選手を急遽パリへ向かわせたことにも、ブラン監督の思惑が働いているように思う。日本チームにとって2mオーバーのアウトサイドヒッターは大きな魅力だ。すでに昨年のネーションズリーグで世界デビューを果たしている甲斐選手だが、出場場面はほぼピンチサーバーとしての起用であり、攻撃面での彼のデータはあまりないはず。パリ五輪まであまり時間はないが、彼がパリで学んだことをどう生かし、これからの代表合宿でブラン監督からどんなテーマを与えられるかとても興味深い。
　五輪まではあと３ヵ月と少し。日本のメダル獲得は甲斐優斗選手の成長にかかっていると言っても過言ではないだろう。