ズラリと肩を並べたスターたち! VリーグのジェイテクトSTINGS 新入団選手記者会見
2022年7月11日、愛知県名古屋市でジェイテクトSTINGS 新入団選手の記者会見が行われた。列席者は今春まで所属していたイタリア・ヴィボを退団し、古巣に戻ってきた西田有志に加え、新加入となる関田誠大、柳田将洋、河東祐大の4選手。そして、今回の会見には出席していなかったが、前年までロシアのゼニト・サンクトペテルブルクに所属していたOHのティネ・ウルナウト選手の加入も発表された。身長2メートルという大型助っ人だ。
今期のジェイテクトSTINGSのメンバーを見渡してみると、今年代表選手として選出されている西田、関田、村山 豪、宮浦健人、高橋和幸選手の5人に加え、過去にシニア代表経験のある福山汰一、本間隆太、都築 仁、そして昨年春まで代表キャプテンを務めていた柳田が加わるという超豪華な布陣。
これだけの選手をそろえたら勝って当然というチーム状況に見えるが、駒がそろっているからこそ少なからずプレッシャーもかかるはず。個々の能力をどうチーム力として一つにまとめるか、彼らトップ選手をどういう場面でどう活かすかなど、フェデリコ・ファジャー二監督の手腕が問われるだろう。いずれにせよ、今年のジェイテクトSTINGSがVリーグでの台風の目になることは間違いない。
この会見で西田は「日本ではレギュラー選手なら、いつ戻ってきても自分の席は空いているという感覚だったが、海外では違った。ちょっとでも何かあれば、自分の代わりはいくらでもいる。自分の指定席だと思っていても、その席はすぐになくなるということ。頭ではわかっていたことですが、身をもって体験すると甘えがなくなるんです。良い意味で1試合、1試合緊張感をもって臨まなければいけないというマインドを日本の選手にも伝えていきたいと思う」と語った。
また「イタリアへ行って、日本のバレー界の環境の良さとレベルの高さを実感した」とも語っているが、世界を体験したことによって、海外勢と伍して戦える日本バレーの可能性を見出したに違いない。この感覚をチーム内で多くの選手と共有することができれば、必ず結果はついてくるのだろう。
今回の入団会見の中で、やや遠慮がちに映ったのはセッターの河東。「関田さんが加入することは耳にしていた」という状況にもかかわらずの入団だったようだが、このチームで関田の経験値やテクニックを学び、自分なりのトスワークを考えた上で、関田とは違うタイプのセッターに成長できれば、必ず将来大きな戦力になるはず。これだけのビッグ選手がそろったからこそ、河東には自身のためにもこのチャンスをものにしてほしいと思う。
大阪大会では初めてのスタメン起用となった高橋藍。ディフェンス面ではその長所を随所で発揮できていたが、同時にブロックなど課題も見えた試合だったように思う。試合結果は3-1で日本の勝利。大阪大会ではここまで負けなしの日本代表。最終日のブラジル戦でどこまで戦えるか期待がふくらんだ試合であった。この日、日本のトップスコアラー上位3人は1位宮浦健人、2位高梨健太、3位高橋藍。
【HEROE’S EYE】
会見には新加入の選手だけでなく、バレーボール部部長の立花昭人氏とGMの早野容司氏も同席。そこで本誌は今回の大型補強に関して「プロ野球にたとえると大砲をスカウティングする巨人のような補強にも思えるが、今期どういうチームを目指しているのか?」という質問をぶつけてみた。
それに対して早野氏は「もう一度日本のリーグで1位を目指すことはもちろん、世界に向けてチームづくりをしていきたい。日本代表で活躍している選手、海外のバレーを経験している選手、日本国内で成長している若手選手全員でさらに成長できるチームにしたいという思いから今回の補強となった」と語った。
この回答を聞いて一番に感じたのは「ジェイテクトの本気度」。観客減少が著しいVリーグにあって、とにかく自分達がトップに立つことでリーグ戦を活性化するとともに、アジアクラブ選手権制覇をはじめ、世界に向けて日本の存在感を示したいという明確な意欲が伺えた。オリンピックに向けての代表チーム強化もいいが、まずは将来を見据えた選手層の強化と、国内リーグを活性化し、バレーファンを増やすVリーグ改革は急務。今期のジェイテクトがその旗振り役となってくれることを期待したい。
早くも Vリーグ開幕が待ち遠しいと思わせる会見であった。
取材・文◎山路洋子
協力:一般社団法人日本バレーボールリーグ機構
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