日本代表監督フィリップ・ブラン氏を直撃!!今、日本チームが強い理由とは?

日本代表監督フィリップ・ブラン氏を直撃!!今、日本チームが強い理由とは?

8連勝は奇跡ではなく
最高の準備とコンビネーションが機能した結果

東京2020オリンピックでは代表コーチを勤め
昨年より代表監督として手腕を奮うフィリップ・ブラン監督
外国人監督としては2013~14年のゲーリー・サトウ氏以来2人目となるが
ヨーロッパ出身の監督としては初の指揮官となる
VNLでは8連勝という好スタートを切った龍神NIPPON
昨日からはじまったフィリピンラウンドを前に
「日本大好き! 納豆も大好物」というブラン監督に
日本チームの強さの理由を語っていただいた

――VNLでは名古屋とフランスラウンドを全勝という成績で終えました。8連勝した主な要因は何だったとお考えですか?

 VNLに向けて最高の準備ができたことが第一だと思います。今年はユウキ(石川祐希)とラン(髙橋 藍)の合流が遅れましたが、思いのほかチーム作りは順調にいったと感じています。試合に入ってからも、コンビネーションの面ではスタートからしっかりと機能できていたと思います。
 コンビネーションがうまく機能できたことの功労者として、第一にセッターのセキタ(関田誠大)の名前をあげたいです。セキタの成長で攻撃にバリエーションが生まれ、幅ができたことが大きい。やはりグレートなチームには、グレートなセッターが必要不可欠ということが実証されたと思います。セキタは今回のVNLではベストセッターといっても過言でない選手です。

――8連勝に一番貢献した選手はだれだと思っていますか?

 1人に絞ることはできませんね。バレーボールはチームスポーツなので、いくらすばらしいプレーヤーがいたとしても、1人だけではポイントは上げられない。チーム全体としてのパフォーマンスが重要であり、選手1人ひとりの働きを連携させることが大切なんです。もちろん海外帰国組の成長は素晴らしいしものがありますし、テーマであるブロック力も非常に良くなっている。守備面ではトモ(山本智大)がすごく成長しているので、個々の力は確実に上がっているとは思います。でも、やはり最後はチーム力です。個々のスキルがバランスよく機能し、点が線となって戦うことが勝利につながると考えています。

――全員がそれぞれの目的をもって、共にグループとして仕事し続けることが重要だということですね?

 そうです。選手のだれか1人だけがチームに勝利をもたらす要因になるわけではありません。単に大砲が1発あればいいというものではないんです。そこがバレーボールの難しさでもあり、楽しさなのかもしれませんが……。

――宮浦健人選手の活躍は想定内でしたか?

 ミヤウラはポーランドから帰った時点で、フィジカル的に大きく成長していました。ニサでは試合の出場機会には恵まれなかったようですが、高く強いブロックに対してスパイクを打ち続けたことがいい練習になっていたと思います。ポーランドリーグの最終試合では、強いサーブやスパイク、またブロックにも練習の成果が出ていましたしね。日本チームと合流したときも、とても気合が入っていると感じましたよ。
 中国との親善試合でも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれましたし、フランス大会ではミヤウラの起用で、肩に不調を抱え、ベストなパフォーマンスができないニシダ(西田有志)を休ませることができた。2人を上手く使い分けられたと感じています。ブロック面ではニシダより若干劣る部分がありますが、ミヤウラのパフォーマンスには、最高の賛辞を贈りたいと思います。

――今後も宮浦選手への期待は大きいですか?

 もちろんそうです。ただ、彼だけでなく、OPの選択肢が増えたことが大きい。去年はニシダとオオタケ(大竹壱青)の2人しかいなかったOPが、今年はミヤウラのみならずニシヤマ(西山大翔)やタカハシ(高橋慶帆)もいる。新しい世代が加わったことによって、攻撃の選択肢と可能性が大きく広がったと感じています。

――日本選手にとって外国でプレーすることはプラスだとお考えですか?

 基本的にはプラスだと思いますが、状況によると思う。適正な場所やチーム、行く時期なども大切なポイントになると思います。確かにスパイカーにとっては高いブロックに対して打ち続けることで、攻撃のキャパシティが広がれば、ナショナルチームで必要とされる可能性が高くなるとは思います。
 ただし、ヨーロッパは試合数が少ない反面、トレーニングはかなりハードです。試合がない日でも、次の試合に向けてハードな練習をこなし、万全の準備をしておかなければならない。なぜなら、海外のリーグには力のある選手がたくさんおり、換えの選手はいくらでもいるから……。また、ポジションを得るためには、チームとしっかりコミュニケーションをとって、どんどん自分をアピールしないといけないので、言葉をマスターする必要も出てくるでしょう。
 可能性としてMBとリベロは外国人選手枠の制限などで難しいかもしれませんが、他のポジションであれば状況が許すなら、挑戦するのは悪いことだとは思いませんね。

――お忙しい中、ありがとうございました。フィリピンラウンドでの活躍も大いに期待しています!

ブラン監督:アリガトウ。ガンバリマス!

厳しい練習を終えた後、いつも優しい眼差しで選手たちを見守っているブラン監督。もっとバレーのことを聞きたいです!!

厳しい練習を終えた後、いつも優しい眼差しで選手たちを見守っているブラン監督。もっとバレーのことを聞きたいです!!

HEROES EYE
 昨夜(7月4日)からフィリピンラウンドがスタートした。初戦となった昨日の中国戦はフルセットの末、辛うじて勝利をもぎ取った。大幅にリードしていた第1セットを守りのミスで落とした後も、終始中国の高さに翻弄された試合展開ではあったが、途中から投入された宮浦の活躍が光り、無傷の9連勝を飾った。ブラジル戦に続いてのフルセット勝ちが証明するように「勝ち切る力」は昨年までとは比較にならないほどついてきているように思う。

 5日、6日は日本戦はお休みだが、7日はオランダ、8日はイタリア、そして予選ラウンド最終戦にはポーランドが待ち受けている。どこのチーム対してにも油断は大敵だが、特に未だ勝利のないポーランドに対しては、チャレンジャー精神で戦いを挑んで欲しい。今の神龍 NIPPONのチーム力があれば、無傷でのファイナル出場も夢ではないはずだ。

昨年10月に「VOLLEYBALL HEROES」YouTube版がスタートしました! チャンネル登録・高評価・Goodボタンのプッシュよろしくお願いいたします!!

取材・文:HEROES編集部
協力:公益財団法人日本バレーボール協会

※記事および写真の無断転載&複製を禁止します。

関連記事一覧

  1. 伊奈公子

    VNLの銅メダルもアジア大会の金メダルも、宮浦選手の功績はとても大きかったと思います。
    チームプレーではありますが、明らかにこの二つの大会に関しては彼が救ったと言っても良いのではないでしょうか。
    これからの成長にますます期待するとともに全日本での活躍を見ていきたいです!

CAPTCHA